★ 1970年代の国内の二輪業界は、 各社とも250cc以上のスポーツ車の上市もあったのだが、 カワサキを除く業界3社はその販売の中心は50ccのモペットで、 その販売方法は全国の自転車屋さんの店頭にバイクを委託するという 『委託販売』の時代だったのである。
そんな環境の中でカワサキだけが、中大型スポーツ車を中心の販売であったし、最大の市場東京では、既にカワサキは100店余りの『二輪専門店網』を敷いていたのである。
東京に次ぐ大市場の大阪なのだが、大阪では全くそのようなことにはなっていなくて、やっと『カワサキ共栄会』を創ったばかりの状況だったのである。
★ 『カワサキ特約店制度』と検索すると こんな野田浩志さんの記事、 が現れるのである。
1971年時代にはカワサキの本社では野田君が『特約店制』なるものを既に起案して承認はされてはいたのだが、 第一線ではどこもそれを実施しようとするところはなかったのである。
そんな状況だったので、私の管内で何とかそれを実現させたいと その前身の『カワサキ共栄会』なるものを創ってスタートを切ったのである。 『特約店制』と簡単に言うが、既に取引のある自転車屋を切って、新しく『カワサキ特約店』を創るのは、口では簡単でも第1線の営業にしてみると『リスク』が大きすぎて実行しようというところが皆無の状態だったのである。
まず大阪・京都と名古屋地区でスタートを切るべく検討を開始し、 特に『カワサキ共栄会』が出来た大阪では500店以上の取引自転車店があったのだが、 『カワサキ共栄会』の25店で大阪管内の実績の60%の販売台数になれば500店の店を切って25店の『特約店制』に踏み切ると公言したのである。 約1年の期間を経て、管内の京都地区にも10店の京都カワサキ共栄会がスタート出来て、名古屋地区でも岡崎営業所がスタートするなど、徐々にその機運が高まっていったのである。
そして1972年9月1日に二輪車新聞のトップ記事で 『カワサキ特約店制の実施構想』を発表したのである。
これは簡単に出来たように思われるかも知れぬが、 大変だったのである。
特約店候補の店も数少なく絞ったが、 その候補店に対しても、十分な理解を得るために、営業所で夜遅くまで『勉強会』をやったし、 既に同じような『二輪専門店』にはなっていた東京地区の 北多摩モータース・城東カワサキには、何度か大阪まで足を運んで頂いて『二輪専門店』なるものへの研修会の講師を務めて貰ったりしたのである。
特約店契約の内容も非常に厳しいもので、従来の自転車屋さんとの『委託販売』とは全く違った『年間契約金額』も設定されたものだったのである。 カワサキ場合は、大型車も多いので『台数契約』ではなく『金額契約』とし その最低を『1000万円』としたのである。
大阪の場合で言うと25店だから契約総額は3億円を超え、2年前に二輪車新聞に『2年で倍増』という公約は十分に果たせたのである。
★こんな細部のことを言っても、一般にはなかなか理解がムツカシイとは思うが、 兎に角、当時としては『桁外れに高い条件設定』だったのだが、 神様は援けて下さるのである。
上の二輪車新聞の左上に『カワサキ750、国内用に明春発売』とあるが これが50年経った今も人気の『カワサキZ2』なのである。
この車が『特約店制スタートの初年度』に発売されてカワサキの特約店制は最高のスタートを切ることが出来たのである。
カワサキ特約店制がスタートしたのは1973年なのだが、最初は大阪・京都・名古屋の3地区からスタートし。既に同じような『二輪専門店制』を採っていた東京も加えて『東名阪メガロポリス地区』での特約店制が確立するのである。東・名・阪の東海道メガロポリス地区での
★この時点では地元『兵庫県』が入っていないのだが、 兵庫県は販売台数は多いのだが、典型的な自転車屋さんが主力で、 『二輪専門店』になるような候補店が皆無の状態だった。
そんな中で登場したのが、この稿の冒頭にご紹介した『従業員独立制度』、 所謂『のれん分け制度』で兵庫県はカワサキの従業員の『のれん分け』のお店が多いのは、そんな事情からなのである。
これは最近の写真だが、 みんな立派になられたが、『元カワサキの従業員』だし、
これはその最右翼『叙勲』を受けられた吉田純一さんの祝賀会に集まった 当時関係のあったメンバーたちなのである。
不思議なほどその当時の主役たちが集まっている。
今でも思うのは、この当時『特約店制』で関係のあったメンバーたちは、 単なる販売元と販売店という関係ではなくて、 『一緒に同じ目標に向かって邁進した仲間たち』なのである。
50年経った今も、そんな絆で結ばれているのが素晴らしい。
冒頭にご紹介した特約店制度やのれん分け制度の起案者の野田浩志さんこと 『のんちゃん』もFacebookで繋がっている。
私にとってもこの二輪業界で先頭を切って創り上げた新しいシステムだったし、こんな特約店制度の推進に関われたのは『最高の喜び』なのである。
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