★ カワサキが厚木に三橋実が主宰するカワサキコンバットを立ち上げ、関西では神戸木の実クラブの歳森康師と山本隆のライダーと契約して、所謂ファクトリーチームを創くりモトクロスの世界にデビューしたのは1964年のことである。
ただ、当時のモトクロスの記事などはマスコミには全然報じられたりしないので、スポニチをけしかけてその主催レースを開催することを提案したのだが、このスポニチ主催のモトクロスが1964年11月8日に和歌山県の紀ノ川で開催されたのである。
★当日 星野一義は、ライダーとしてではなく、カワサキコンバットチームのトラックの運転手として、現地に来ていたのである。
その日の朝の練習中にカワサキの岡部能夫とヤマハの荒井市次がぶつかって岡部が小指を骨折してしまうのだが、その岡部の代わりに『岡部の名前で』出場したのが星野一義なのである。
星野のデビュー戦というよりも『星野が初めて岡部の名前でレースを走った日』ということなのである。
ところがレーススタートした直後のジャンプで星野は頭から転倒救急車で病院に運ばれてしまうのである。午後になって病院から戻ってきて、『もう一度走らせてください』と言って出たオープンレースに6位入賞を果たすのである。そんな気概と運を星野は持っていたなと思うのである。
それなりの素質があったのだと思う。その翌年の3月の名古屋東山でのMFJ全日本モトクロスには125㏄アマチュアクラスでぶっちぎってトップを走っていたのだが、パンクで惜しくもリタイアだったが、翌月4月18日の朝霧高原でのMCFAJ全日本では、90㏄ノービスクラスで見事優勝を果たすのである。
その朝霧でのカワサキチームで、右から6人が契約ライダー、左から4番目が星野一義だが、まだ未契約時代なのである。
右から梅津・岡部・山本・歳森・三橋・安良岡 そこまでが契約ライダー。
★そんなカワサキデビュー時代の星野一義だが、『片山義美を偲ぶ会』では久しぶりに会えていろんな話が出来てよかった。
昭和の日本を背負ったライダーたち100名以上が集まったのだが、星野はその献杯の音頭をとったりしたのである。
カワサキ時代が懐かしいのだと思う。 モトクロス時代の お師匠さん山本隆とも
当時のレース監督大槻幸雄さんとも 長時間話し込んでいた。
私は当時はライダーの契約関係を担当していたのだが、
星野曰く 『古谷さんに、月給2万円で契約して貰った』と何度も懐かしそうに言っていた。私は覚えていないのだが、確か金谷秀夫のスタートの契約金と同額であったはずである。
星野一義も金谷秀夫も当時は名もない普通のライダーだったのだが、二人とも立派になられたのである。
そんな星野が会場で、ずっと手にしていたのが『朝日新聞』なのである。
そこに星野の記事が書かれているので、『是非、古谷さん読んで欲しい』というのである。
星野はいつになっても純情だなと思った。彼に初めて会ったのはまだ17歳の頃なのだが、その後免許が取れて、『クルマを買ってもよろしいか』とわざわざ家までやってきた。
これも覚えてはいないのだが、日記の記述にそのようにあるので間違いないのだろう。 この新聞記事の件も、何度も言うので、家に戻って新聞記事を探してみた。朝日新聞の『日曜版の記事』である。
星野に「読む」と約束したので、どんな記事なのか、皆様にもご紹介しておきたい。
こんな4輪のレースの記事だが、
2ページに亘って書かれている見開きの大きな記事である。 これだけ有名人の星野にとっても、 こんなに大きな記事は、滅多にないのだと思う。
このように書かれている。 そこには、富士スピードウエイのことが書かれていた。 1966年に開催された、第1回の日本GPが カワサキのGPレース初参戦の年なのである。
1965年には、危ないと言われた第1コーナーを MFJの運営委員たちが実地走行をしたので、私も走らせて頂いたのが懐かしい。 そんなFISCOでの『星野の走り』が書かれていた。
★やはり一流になる奴は、確りしてるなと思った。
それにしてもなぜ星野は私に読ませたかったのか? 『古谷さんとも、最後になるかも知れませんね』とも言った。
みんなお互いそんな歳なのである。
これは何年か前、私と山本隆が東京に行った時に、 岡部と金子を誘ってわざわざ来てくれて、 星野がご馳走してくれた焼肉屋での写真である。
もう金子も、岡部もいなくなってしまった。 金谷秀夫も、もういない。
その日だったが、星野が画いたバイクの絵なのである。
星野に約束した通り、新聞も確り読んだのだが、こんなブログにアップしても、星野の目には留まらないと思う。山本隆が言っていた。 『星野は全くのネットオンチだ』と。
どなたかこのブログをお読みになって、若し星野一義にお会いになるようなことがあるなら、『古谷は新聞をちゃんと読んだらしいよ』と伝えて頂きたいのである。
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