★別に私は政治も外交も専門家ではないので、そんなにちゃんと解っている訳ではないのだが、この1年トランプさんのやり方を見ていて、『トランプ流はスゴイな』と思っているのである。
世の専門家・評論家と称する人たちは、従来の政治や外交の常識に拘らない『トランプ流』をいろいろと反対の立場で論評される方が多いのだが、1年前のアメリカ大統領選挙の結果を『完全に読み間違えた』ように、北朝鮮問題も評論家のヨミとは違って『トランプさんの思う方向』に動いていくはずだと私は思っているのである。
北朝鮮問題が1年前『どんな状況だったのか』思い出してみて欲しい。
いつアメリカの北朝鮮攻撃が始まるのか? 北朝鮮制裁は始まったばかりで、北朝鮮はミサイル開発に躍起だったのである。
この1年の経済制裁には『よほど北朝鮮も困ったのか』今年の春あたりから一転そのスタンスを変えて、今回の『米中首脳会談は実現』したのだが、1年前に『こうなる』と予想し論評した評論家など皆無だったと思う。
然し『こうなること』は、トランプさんにとっては『ご自身の仮説通りの、予想通りの進行』で、あと1年先には、ひょっとしたらもっと早く、北朝鮮は自らの意志で『完全な非核化への道』を歩みだすはずである。
『非核化』を急いでいるのはアメリカではなく、北朝鮮なのである。
★現在の評論家の論調のベースは、従来の『約束しても騙し続けた北朝鮮』のイメージで語られているのだが、今回は米朝のというよりは『トランプ・金正恩』のトップ同志の約束なのである。
『ミサイル開発』により目指した『アメリカとの対談』が実現したとも言えるのだが、それが実現した今はもう金のかかる『ミサイル開発』は用済みで、いつまでも『ミサイル』に頼っていたのでは、未だ30歳前半の金正恩さんにとってみると、今後の見通しが立たないのは自明の理で、今後の北朝鮮の目指すところは『経済発展』が第一の目標なのだろう。
『完全な非核化』に向かえば、経済発展に必要な資金が入ってきて且つ『体制が保証』されるのであれば、その方向に行こうと思うのは、人の発想として当然だと思う。北朝鮮の場合は、金正恩さんが『そう思えば』100%その方向に動く独裁体制なので、トランプさんの目標は、『金正恩さんの心』をどう掌握するかの1点に集中してるはずである。
今回のシンガポール会談で、トランプさんの思惑は120%達成できたと思う。
『二人の人間関係が築けたかどうか』が焦点で、『トランプさんの思惑通りの成果』だったので、トランプさんご本人は大満足なのである。
★それにしても、トランプさん『人の心』を掴むのは上手である。
いろいろな『トランプ流』が用意されたのだと思うが、
『金正恩委員長の決断を促すために作ったものとみられる4分30秒のこの動画』は如何にもトランプ流で卓越している。
『北朝鮮の未来を示す南北が同じように明るく輝く朝鮮半島の夜景の画像』は、
核を放棄し改革開放措置を取った場合の北朝鮮経済の発展の様子を象徴的に具体的に表現ている。
金正恩さんが、『今一番やりたいこと』は、『こんな北朝鮮の姿の実現』なのである。
シンガポールでの『会談前夜の金正恩さんの行動』を見てもそれは明白なのである。
トランプさんは、非核化への手段は具体的には示さなかったが、金正恩さんの心に突き刺さる『具体的な提案』をこんな形でさりげなく誘っているのである。
そして金正恩さんにとっては、多額の資金を使った従来の『核への投資』がそれを放棄することで、『何倍もの経済支援金』に変わるのなら、『核の放棄』は最も簡単で、確実な北朝鮮の資金調達の手段であり、従来の核への投資が無駄にはならないのである。
『体制の保証』が北朝鮮にとってのMUST条件だが、それはトランプさんの決心次第で、朝鮮半島の平和が見込めるなら、金のかかる米韓軍事演習など行う必要などないのである。
これは2014年1月30日、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士が撮影した朝鮮半島の夜の写真で、非常に注目され、その年ロイターで「今年の写真」に選ばれたとか。
特に、対比される他のは南北双方の首都ソウルと平壌なのである。
★今後の北朝鮮問題も、間違いなく『トランプさんの描く仮説通りの進展』を見せることだろう。
それにしても『この夜景の写真は秀逸』で、さりげなく4分半の動画に纏めて、金正恩さんにプレゼントした『金正恩さんの心の中』を見通したようなトランプ戦略なのだろう。
従来の政治交渉とは全く差別化されていて、『トランプさん、見事‼』 と言っておきたいのである。