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イランの想い出

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★安倍総理がイランを訪問中である。 日本の総理がイランを訪問したのは41年ぶりのことだとか。
  

 イランに行ったことがある人など少ないのだろうが、実は私は43年前の未だ『王政時代のイラン』に行ったことがある。ちょうどその頃、カワサキは開発途上国へのCKD生産に本格的に取り組むべきかどうか、調査団を創って約1ヶ月に亘ってインドネシア・タイ・イランなどの市場調査を行っていたのである。
 そんなプロジェクトの提言者が私だったし、髙橋鐵郎さん以下安藤佶郎・川崎芳夫・山辺昂・松田与市さんなどとの調査団メンバーの一人としてイランにも1週間余り滞在しての調査だったのである。
★当時の日記を開いてみると、1976年5月18日からの1ヶ月でイランには6月3日から10日までの1週間の滞在だった。 インドネシア・タイなども初めて見聞きすることが多かったのだが、イランの印象はまた格別で、世界にこんな国があるのだと、ホントにそう思ったのである。

 緑が殆どない、こんな国である。 首都テヘランには街路樹も植えられているのだが、1日に何度か、その北側の山から水が流されて、それによって樹が育っているのである。 そんなことをして樹を育てる、緑いっぱいの日本では考えられないことだがアメリカのロスあたりも同じ環境なのかも知れない。
   
 そんなイランで、結構いろいろと回ったのである。 テヘランは勿論、その140キロ南のサーヴェに当時の提携会社が工場を持っていてその工場も訪れた。当時その工場に単身赴任していたのが佐伯武彦さん(後川重副社長)なのである。
 そのほかにも、イスファハーンにも、シラーズにも訪れて、そこに進出していた日本のタイヤ工場なども見たのだが、砂漠の中に突然立派な都市が現われるのだが、それが不思議に思うほど立派で綺麗なのである。 

  

 不思議と言えば『突然の礼拝』にもビックリしたし、長期計画などは『神様の分野』だと仰るし、突然の飛行機の欠航にも、その後どうなるかは『よく解らない』と平然と言われるので、イスファハーンからテヘランまでの400キロはタクシーを雇って、砂漠の道を戻って来たりしたのである。
そんなこともあって、調査団一行のイランに対する見解は『おかしな国』という印象が強かったのだが、私自身は世界にはいろんな国がある。それもそんな発想をする人たちのほうが日本人より多いのだから、日本人の発想がおかしいと回教国の人たちが思うのも自然かなと思ったりしたのである。
 私自身は非常に『好奇心』は強いので、『イランの市場=バザール』が観たくて、独りシラーズの町のバザールに行ってみたのだが、ものに値段がなくて、値段は『交渉からスタート』して決まるようで、なかなかもの一つ買うのも大変なのである。 イランの字が解らないのは普通だが、数字の1・2・3・4がないのにはびっくりした。 数字の『5が・』なのである。飛行機の座席番号も、ホテルの部屋も数字とイラン語が交互に並んでいるのである。
 バザールからの帰りは、イラン独特の乗り合いタクシーに乗って戻ってきた。コトバは通じないが、ホテルの名前を言うとちゃんと送ってくれるし、珍しい日本人に対してとても親切だったのが、印象に残っている。いま思うと少々無鉄砲だったような気もするが、当時はそんな危険という発想は皆無だったと思う。

★そんなイランなのだが、体制が変わっても本質的なものは同じだろう。アメリカとの間はなかなかムツカシそうだが、果たしてどんな結果になるのだろうか?
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