★朝日の夕刊の見出しは『米朝、午後にも同意文書』だったのに、朝刊は一転『米朝 合意できず』となっている。
米朝会談のような世界でも最大級の交渉事など、経験する人は皆無だと思うが、世の中には交渉事は頻繁にある。
交渉事はよほどのことがない限り、なんとか辻褄を合わせて成立することが殆どである。
交渉事で相手の意見を遮って、NOという判断を下すことは現実にはムツカシイのではないかと思うが、NOと言うべき時にNOと言えることは大事なことだし、それが言える人は立派だと思う。
今回の米朝会談の予想では、何となく『トランプさんが譲歩するのでは』という憶測が主流だったようで、そんな世の中の流れみたいなものに、金正恩さんは乗り過ぎてしまった、ヨミを間違ったのではなかろうか?
『制裁の全面的な解除』を要求する見返りの条件は、いろいろと用意したのだろうが『全面解除要求』はちょっとやり過ぎだったのだろう。
トランプさんに土壇場でNO と言われて今回の会談は、中止に追い込まれてしまったのである。
『合意に達しなければ、いつでも交渉の場から立ち去る』トランプ大統領が「ビジネスマン」としての手腕を自負し、大統領選の時から度々口にしていた言葉が、米朝首脳会談後の記者会見でも飛び出したのである。
★ 交渉事で NOと言うのもなかなかムツカシイ判断だとは思うが、NOと言われてしまった方がもっと大変だと思う。
おそらく、金正恩さんにとってみれば、生涯で初めて言われたNOではなかったのではなかろうか?
北朝鮮の日常では、金正恩の言うことに、NO を唱える人などいなかったはずである。
トランプさんは、記者会見でいろいろと考え方を話していたが、この交渉は『決裂』したわけではなくて、北朝鮮の要求にYesということが出来なかっただけのことで、交渉は今後も続くと言っていた。
アメリカにとってみれば、北朝鮮の核廃絶は早いにこしたことではないが、ちょっと先になっても特に困ることはないのだが、『制裁が続く』ことは北朝鮮にとっては、多分大変なことなのだろう。
金正恩さん、未だ一両日ハノイに留まるらしいが、その心情はどのようなものなのだろうか?
北朝鮮での発表の仕方もなかなかムツカシイと思う。
★私自身の経験で言っても、交渉事など殆どがYes で通してきたのだが、NOと言ったのは3回ほどはあるのだが、どれもNOと言った事項は結果は非常に上手く行っているのである。
今回のトランプさんのNOもそう言う意味で、結果は上手くいくのかも知れない。
今度、動かねばならぬのは、NOと言われた北朝鮮の方かも知れないのである。
今回の出来事は間違いなく『予想外』で、トランプさんが今回NOと言うと予想した専門家もいなかったのではなかろうか?
今朝のニュースで流れた親密ぶりを観たら、まさか何時間後に『こんなことになる』とは思ってもいなかったと思うのだが、トランプさんの発言の中には『時間は掛かっても構わない』『正しいことをやる』という発言が何度も出ていたので、ひょっとしたらNOも『トランプさんの仮説』の中には、初めからあったのかも知れない。
トランプさん、今頃アメリカへ帰る飛行機の中で、どのように思っているのだろうか?
金正恩さんはベトナムのホテルで、今夜はよく眠れないのかも知れない。